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体験実習ルポ① ~社協についての基本的な概念から区内の活動へと理解の幅を広げること~
 ここ数日来ブログの更新が途絶えていたが、大学のカリキュラムの一環である2日間の体験実習 ( 母校の場合、「かかわり体験」)という名称になっているので、以下は必要な場合を除き「かかわり体験」と表記しておく) が火曜日で終わったことを受け、ようやく一息つくことが出来た。ということで、今回はそのかかわり体験で学んだことについてリポートのつもりで記しておこうと思う。今回の実習については、普段から私のブログにご訪問下さっている方々においては既にご承知のように、事前にあれやこれやとこだわって取り組んでいたのであるが、やはりこだわっただけのことはあったというのが第一の感想である。というのも、今回の舞台である社会福祉協議会は、私がこれからの職場としても第一の目標に置いているところでもあり、個人の学びとしても地域で福祉援助をしていくことについて改めて関心を深めているのである。勿論、個別援助のキャリアがお世辞にも満足とは言えない段階において視点を一気に「地域」に広げることには遠慮なしとしないのであるが、それでもこれからの自分自身の方向性を図る上では、「地域」を意識しながら取り組むことを大切にしていきたいという思いがある。それは、個別援助のあり方を考える上では、どのサービスのどんな所がその本人に相応しいサービスなのかを考えるときに、生活環境にある各種の社会資源を適切に選択し組み合せることが必要であり、そのためには地域を観る視点は大いに重要な要素であるからだ。社会資源を選択するとはどういうことかと言えば、極めて平易に表現するならば、それは福祉サービス対象者のニーズ(質的かつ量的なものとして)に基づいて、それを充足し得る範囲を領域的かつ地域的に規定し、そこに存在する福祉資源を取捨選択することであり、選択したサービス内容を対象者に適した形に組み合せることを経て対象者に届けるのが援助の基本と言えよう。留意しなければならないのは、近年の福祉が介護保険法や障害者自立支援法などの成立・施行によって措置型から契約型に移行したということで、結果的にサービスの範囲が要介護度や障害等級によって決められてしまうということであり、対象者本人のニーズを満たし切れているとは言えないことである。このことはまた、単に個別援助における問題ということに止まらず、地域的・国家的な枠組みの中で捉えられなければならない。特に、既に平成2年の8法改正によって、社会福祉サービスが機関委任事務から団体委任事務へ変化したことや、サービス体系面で「地域福祉」を軸として医療・保健・福祉の各領域における再編成が進められていること、さらにはこの再編成によって、社会福祉サービスの展開において社会福祉協議会などの半官半民の性格を有する機関・団体にとって「地域福祉計画」における位置づけが一層厳しい状況に置かれつつあるという認識に立って検討がされなければならないと考える。このような視点に基づいて福祉援助を考えるとき、それぞれの地域が持つ課題に着目することはごく自然ななりゆきと言って良い。今回のかかわり体験は、その入り口としての位置付けの中にあり、飽くまでも上で挙げたような問題意識を検討する材料を見出すのが狙いである。今日は、その報告の第1回目として、10月6日の実習初日のことを記しておく

 かかわり体験というのは、本格的な現場実習の前に多少の基本的な知識・教養を得て、どんな現場であるのかを肌で感じ、かつ知ることに主眼が置かれているものであるので、本来は余り深く掘り下げるような場では無いと言える。当然ながら、実習受け入れ先施設・機関側としても2~4週間の実習とは異なり、学生に対しては基本を概観してもらうべくスケジュールを組んでいるものである。特に、社会福祉協議会の場合は取扱う分野・領域が多方面なため、何か一つに特化して学生に伝えるということはしないものである。初日はやはり協議会の概要説明から始まった。概要説明は殆どの場合、設立経緯と事業内容に大別される。また紹介される事業内容は高齢者・障害者・児童福祉を軸にして、コーディネートと広報啓発を基本スタイルとしていることの説明になる。そこでは、側面的支援・連携・広報が地域レベルで不可欠な要素であることも徹底して教えられるのである。私自身は既にこのあたりの事情については了解済みであったが、それでもわからないのは、社会福祉協議会の組織に横たわる公的性の基準についてである。それは民間の社会福祉法人と言いながら行政依存度が高いという社協自身のあり方によるところが大きいためであり、依存度も行政からの受託を伴うところのものであるからして、小地域組織福祉活動云々以前に、社協組織自体の維持・存亡にも影響無しとしないという重大な問題が横たわっていることに起因している。ご承知のように、社協という組織は1951(昭和26)年の社会福祉事業法(現「社会福祉法」)の成立とともに、戦後の民間社会福祉団体組織の再編と近代的な福祉の総合組織として成立したものであるが、設立当初は任意団体として出発していた。それが後年社会福祉法人格を得て現在に至るというのが基本的な流れと言われるが、設置主体と運営主体の位置関係においては、いまだに行政の影響を色濃く残しているものが多く、私が携わっている実習先の区社協も例外ではない。当然ながら、運営は行政や上級社協である市社協の助成を受けるほか、共同募金の配分金や各種の寄付金によって行われているのであるが、この点が永く社協の性格を曖昧にする因となってきたことは言うまでもない。その上、社協が地域福祉活動の先頭に立ってきたことは、半官の性格を持つが故に啓発活動一つについても善意の押しつけと解釈されることが少なくない。私の社協についての基本的な理解はこのレベルにとどまっているのであるが、それでも事業展開の手法や組織体系の見直し等の改善点があることを認めつつも、社協の存在意義については将来にわたって不可欠なものと受け止めている。それは法人格の有無を問わず民間の社会福祉活動の推進に寄与することが社協の社会的使命であり、行政の範囲で限界があるものについて、きめ細かく対応する”気配りの組織”であってほしいと願うからである。難しいのは、きめ細やかに支援をしていくときにプライバシーにどのように関わっていくのかということだろう。組織化とプライバシーの尊重は常々対置するものであり、社協としては住民の自由意思を尊重する姿勢を守り続けていくことが、地域に根差す上でも必要になるといえよう。
概要説明の後は、各事業の中で代表的なものについて、体験・見学をしていった。初日は、高齢者福祉推進事業の中のテレホンサポートという活動について、実際に実践にも携わった。このテレホンサポートというのは、一人暮らしの高齢者への見守り活動の一環として、ボランティアの手で週1回程度の電話による高齢者の見守りをするものである。私の関わった神戸市の場合、「被災高齢者の閉じ籠り防止対策として、定期的に電話による声の便りを届けることで、新しい生活環境の不安を軽減し、地域での生活に馴染んでもらうこと」(概要説明ペーパー「テレホンサポート事業とは?」から引用) を目的に11年前に

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